そろそろあの日のことを語るべき時だろうか…⑦

一番恐れていた事態が始まった。

薬が入って来ない。

いつも、『薬を買ってくれ買ってくれ。』
と、うるさいMRが、
『薬を買わないでくれ。』
『薬を売りません。』
と言ってくる。

彼らがずるく、腹立たしいのは
製薬会社の公式HPでは
『欠品している薬があることを認めていない』こと。

なぜ認めないの？
『株価が下がることを恐れている』から。
地に堕ちたよね。

人の命、人の健康より株主の心象が大事なら
製薬会社やめてよ。

実生活でも異常事態。
首都圏からガソリンが無くなった。

ガソリンスタンドは長蛇の列。
ガソリンスタンドの行列が全く意味の無い渋滞を引き起こす。
バスも間引き運転。

うちの薬局の自動車通勤者が
ほぼ全員、自転車通勤になった。

それでも、薬が欠品したら患者さんへの
お届けを中止することはできないから、
自分の車を職場に置きっぱなしにして自転車で通った。

この期に及んで『自分のノルマ』を達成するため
車で営業していたMRがいたってんだから、笑っちゃう。

業界で叩かれて、事実上MRたちは
営業活動自粛になったが…。

ガソリン、米、水あらゆるものが
買占めの対象になった。

かくいう自分も実生活は冷静を装って行動したが、
医薬品は常に薬局に３日分以上確保した。
買占めが買占めを生む最悪な状況だった。

当時のことを思い出すと、今でも動悸がする。

仕事を終えて帰るときは、街は真っ暗。
気持ちが萎える。

そして計画停電。

言っても仕方がないことだけど、
『震災さえなければ』
『震災はまだしも原発事故さえなければ』
『03/11以前に戻りたい』

独りになるとどうしてもそんなことばかり考えた。

暗くてごめんなさい。
一応日記であり、『記録に残す』意味もあるもので…

次回最終回の予定です。